さて、何かと話題のパリ五輪。みなさん楽しんでいますか?
開会式では、
トランスジェンダーたちが集結した
「最後の晩餐」のオマージュや、
全身青塗りで蔦(ツタ)が絡まる謎の男性。
生首を抱えるマリーアントワネットなど、
なかなかクセの強いキャラクターが登場した結果、世界中から批判が相次ぎ、Xではオリンピック公式アカウントが開会式の画像を削除する騒ぎがありました。
一体、どんなオリンピックになってしまうのやら…と、世界中が固唾を飲むなか、
「無課金おじさん」こと、トルコの射撃選手ユスフ・ディケチさんがかっこよすぎてバズるなど、日を追うにつれ、各国の選手たちの活躍が目立ってきました。
そんな中、世界から注目を集めたのが、女子ボクシングのアルジェリア代表、イマネ・ヘリフさんの性別疑惑問題です。
彼女は昨年の世界選手権で、性別適格性検査をクリアできず…。
男性のXY性染色体を持つ選手の女子競技出場を禁じるアマチュアボクシングの世界的な統括団体IBAの規定違反とされました。
しかし、IBAは統括団体の地位を剥奪されており、パリ五輪はIOCが競技を統括しているため出場可になった模様。
・IBAクレムレフ会長…「ヘリフはテストステロン値が高いため男性である」
・IOCバッハ会長…「女性として生まれ育ち、パスポートの性別も女性だから問題ない」
と、依然意見が分かれているようです。
団体によって性別の判定が簡単にくつがえる辺りには、トランスジェンダーの境界線はまだ明確ではないのだな…と感じた次第です。
また、ヘリフ選手はアンドロゲン不応症(AIS)であり、性転換手術などは一切行っていないようです。
ところで、彼女の母国であるアルジェリアの国教は、イスラム教だったはず。
トランスジェンダーに厳格なイスラム教国において、彼女はどのように捉えられているのでしょう?
実はアルジェリアは、イスラム教国でありながら、女性の人権がかなり早い段階から意識されている国です。
かつてフランスの植民地だったため、女性の権利が強い傾向も、フランスの影響なのでは?という声もありますが、歴史をさかのぼるとフランスの植民地となった時代よりももっと古くから、女性が活躍していたことが分かります。
4世紀ごろには「ティン・ヒナン」というベルベル族の女王が存在し、彼女が現在アルジェリアに住むベルベル人の中の一派トゥアレグ人の祖であったり、7世紀には「カヒナ」という名の巫女兼軍事指導者が、ウマイヤ朝の軍に勝利したそうです。
また、近年のアルジェリア戦争でも、多くの女性が戦闘や諜報活動に身を挺していることから、強い女性は国の誇りとして賞賛される傾向にあるようです。
このことから、ヘリフ選手も「アルジェリアの誇り」として、国を挙げて応援されています。
Facebookのアルジェリア人グループを見ても、彼女を批判する声はほぼ見かけられませんでした。
イスラム教国で女性の価値がここまで高い国は、他に見かけることができません。もし彼女が他のイスラム教国の選手であったなら、彼女がボクシング選手として大成することは難しかったかも知れません。
個人的な見解を述べさせて頂くならば、ヘリフ選手には今後もアルジェリアの誇りとして頑張って欲しいと思っています。
みなさんは今回の「性別疑惑問題」に対し、どのような感想をお持ちになったでしょうか?
and you?は、今後も世界や身近なジェンダー問題に関して取り上げて行きたいと思います。